倒産・企業再生・資金繰りでお悩みの経営者の方へ

民事再生の相談から民事再生開始決定までの流れ

資金繰りが悪化してすぐに弁護士に相談しようと思う方は極めて稀だと思います。
弁護士に「何を相談したらよいのか?」「どのように相談するべきなのか?」
「相談するに際し何を準備していいのか?」分からないのが普通です。
そこで、少しでもイメージが付くように民事再生のご相談から
最初の関門である民事再生開始決定までの流れを解説します。

1.ご相談時の心構え ご相談時の心構え

民事再生は、事業再生のための方法の一つでしかありません。

事業再生方法には、民事再生だけではなく、様々な私的整理の方法、事業譲渡、M&A、会社分割など様々な手法があります。そのため、ご相談前から「自分はこの手続きをやりたい」と決め打ちするのは危険です。手続きには、それぞれメリット・デメリットがあり、会社の現状に向いていない手続きを選択しても、うまくいかず、かえって会社の状況を悪化させてしまう可能性すらあります。また、弁護士に相談すると、「破産」を勧められるというイメージがありますが、これも、まずは忘れてください。

弁護士が破産を勧めるのは、破産を勧めるだけの理由があります。

ただ、破産は最後の手段であるので、経営者に事業の継続意思があるのであれば、他の最善の策を模索すべきです。民事再生・私的再生等の事業再生スキームは多くの可能性があるので、まずは、手続きのメリット・デメリットを聞いておきたいという程度で、どのような手続きをするのか決め打ちせずご相談ください。

2.ご相談時にご準備いただくもの ご相談時にご準備いただくもの

決算書(過去三期分) 決算書(過去三期分)

資金繰り表や月次試算表など 資金繰り表や
月次試算表など

債権者のリスト 債権者のリスト

弁護士は、会社の業績や債権者の数や種類・債務の内容や総額などを検証し、どのような手続きを行うかを判断します。

民事再生の申立てをするには、上記のほか様々な資料が必要となってきますが、ご依頼後に集めることも可能ですので、まずは、上記3点をお持ちになりご相談ください。中には、資金繰り表を作っていても正確ではない、また、資金繰りが悪くなってきてから資金繰り表を付けていないという方もいらっしゃいますが、その場合には、現金・預金等の金額、売上金の回収時期、手形やその他債務の支払い時期が分かるものをご準備いただければかまいません。会社の現状や資金繰りの状況を確認し、今後の見通しを立てることが最も重要ですので、分からない場合は、事前にご相談ください。

3.民事再生依頼後の動き 民事再生依頼後の動き

ご相談の結果、民事再生の手続きを決意された場合、事業を継続していくことと裁判所へ民事再生の申立てを行うことを同時にする必要があります。
事業を継続していくこと事業を継続していくこと

民事再生は事業を継続することが前提となっていますので、民事再生の手続きを行うことを決意しても、業務をこれまでと変わらず日常通り行う必要があります。また、民事再生を申し立てることが外部に漏れてしまうと様々な混乱を招きかねないので、民事再生の申立てをするために必要となるごく一部の者以外には知られないで準備を進める必要があります。

民事再生の申立の準備民事再生の申立の準備

民事再生の申立ての準備は、弁護士だけではできません。会社代表者や役員や、会社の顧問税理士の方とも協力して申立の準備を行う必要があります。特に、申立資料に関しては、資金繰り表の作成や再生計画書の立案は、会社にご協力いただく最も重要となる事項となります。この他にも、民事再生申立て後に速やかに従業員や債権者に対する説明を行うための準備は欠かせないものとなります。

4.民事再生の申立て 民事再生の申立て

民事再生の申立てを行ったとしても、すぐに民事再生の開始決定が裁判所から降りるわけではありません。

民事再生の申立て後、1~2週間程度で、民事再生手続きの開始決定がされ、その間に、監督委員の選任、債権調査、債権者向け説明会などが行われます。なお、民事再生を申し立てた後、民事再生の開始決定前に債権者に対して債務の弁済を行ってよいかという点は、会社としても気になるところでしょう。この点は、会社は、民事再生を申し立てると同時に、裁判所に対して弁済禁止の保全処分の申立てを行うことにより、民事再生申立て前の原因により発生した、債務の弁済をすることが禁止されることになります。

5.民事再生開始決定後の動き 民事再生開始決定後の動き

民事再生開始決定後は、再生計画の策定を行い、再生計画が認可されるために事業活動を継続していく必要があります。

特に、民事再生を行うということは債務超過に陥っていることが前提となるため、収益性の改善のために、不採算事業からの撤退、整理解雇などにより経費削減を行い、また資金力確保のためにスポンサーや融資先の確保をすることも重要となっていきます。再生計画の認可を受ける前に、会社が頓挫してしまった場合には、破産手続きに移行することになりますので、会社としては、再生に向け事業の変革に全力を尽くす必要があります。